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2008.08.06

食物アレルギーの治療(改訂)

夏休み中なので、仕事の話しを(笑)

ある特定の食物に対してアレルギーが起こってしまう食物アレルギーの患者さんに対しては、これまで「その食物を食べない」という対応のみが唯一の治療とされてきました。

Suki 乳児期の卵や牛乳の食物アレルギーは、食べない対応(”除去”)を続けていると、7割ほどは6歳までに食べられるようになるため、除去食の必要性が強く指摘されていて、さらに、少しでも食べてしまうと、悪化してしまうと思われていました。

 この少しでもアレルギーの原因物質(アレルゲン)にふれていると悪化するという理論の根拠は、スギの花粉症などを考えるとよくわかると思います。

 生まれつき、スギの花粉症というこどもはいません。スギの飛散地域(関東など)で暮らしていて、杉の花粉に浴びていると、花粉症となっていくのです。

 また、年齢とともに症状がでなくなっていくのは、消化管が成熟していくからだと思われています。

 しかし、ここでいくつかの、疑問が出てきます。「なぜお米は毎日食べているのに米アレルギーにならないのか」。また、「一度、卵アレルギーだった子供が、食べられるようになって食べていたら、また、卵アレルギーに戻ることはないのはなぜか??」

 さらに、「消化管が丈夫になるから、アレルギー症状が出なくなる」理論も一見正しそうだが、基本的な疑問が残ってしまう。アレルギー症状は多くは食べてから10分ー15分で起こるが、この時間では、食物はまだ消化管まで到達していない時間なのだ。

 話しが少し変わるが、多くのアレルギーは基本的に症状を抑えるかアレルゲンに接しないようにするしかない。つまり、”治せない”。しかし、鼻アレルギーに対しては、治癒させる治療がある、それが、免疫療法(一般には減感作療法という)である。アレルゲンを少しずつ身体の中に入れていくと、アレルギーが起こらない身体になる治療である。100年の歴史がある治療だし、有効性も明らかだが、どうして治っていくのかメカニズムがよくわかっていない。

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現在、考えられてメカニズムが上のようなものだ。花粉のような少量の刺激だと、アレルギーは悪化する方向に進むが、免疫療法のような多量のアレルゲン刺激だとアレルギーがなくなる方向に進むと思われている。

 これを食物アレルギーに応用したのが、食物耐性誘導療法である。大きな症状が出ないくらいの量を食べ続けると、アレルギーが出なくなるということを期待しての治療である。昨年から、海外で多くの論文が出ている。

 昨年から今年にかけて、ある試みをうちの施設でおこないました。少量の卵を食べるだけで、呼吸器症状などの重篤なアレルギーを起こしてしまう、小学生以上の6人に対して、1日5回卵白成分のパウダーを徐々に増量しながら食べるというものです。まさに、鼻アレルギーでおこなわれている免疫療法と同様の手法です。結果は、なんと6人全員が10日後には卵1個を食べることができるようになったのです。

 まだまだ治療として確立したものではありませんし、現状では食物アレルギーなら除去食対応というのが、正式な対応です。

 実は、少しずつ食べていると症状が出なくなるというのは、経験的にはわかっていたことなのです。病院で、「卵をやめるように」と指導されているのにもかかわらず、「ちょっとずつならいいかな」と少しずつ自宅で食べさせている方々も大勢おられます。最初はかゆくなったり、軽度の発疹が出たりしていても、少しずつ食べていると、症状が出なくなると言うことが多いのです。でも、このような経験は病院にフィードバックされることはほとんどありません。なぜなら、食べられるようになってしまえば、病院に来ることがないからです。しかも、病院での指導に逆らっていればなおさら受診することはないでしょう。

Jacis

 この図は、アレルギーの中では信頼されているアメリカの雑誌"The Journal of allergy and clinical immunology"の6月号に掲載された"Epidemiologic risks for food allergy"という食物アレルギーのリスクについての文章から取ってきたものです。

 アトピー性皮膚炎などの皮膚の悪い場所(上の赤ちゃんの発赤部)から刺激を受けると、アレルギーが悪化する方に進み、口から摂取するとアレルギーが無くなる方向(tolerance)に進むという。

 少しずつ食べるというのが、実は量としては多量なんです。花粉などは目に見えない量ですごく少ないのですが、少しずつでも食べると目に見えるくらいの量です。

 ただ、少量摂取といっても、強いアレルギー症状が起きてしまうリスクがあるので、摂取に積極的な専門医と相談することが大切だと思います。

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Comments

お疲れ様です。
こちらのブログの図説にて、プリントで提示していただきました免疫療法がさらにわかりやすく、理解が深まりました。
花粉症等につきましては、発症年齢が高いことから、食物アレルギーとは異種のものと勝手に考えておりましたが、たんぱく質の抗原抗体反応がもともと炎症の無い体の中で起こるものですもの、何か関連があるのでしょうね。
また、”継続的”に自己の体を大きく傷つけることない程度少量を取り入れることによって、免疫というシステムを”獲得(学習)”していくのかもしれない可能性を体に期待いたします。
”よくわからないけど、効果がある”事象は、患者としては不安ではありますが、化学や生物屋の分野においても経験や推測からやってみて、あとから分析等の技術が進み解明されることが多く、面白く達成感のある事柄(仕事)でもあります。
子供のアレルギーがわかってから、お医者様任せにせず、病気の発症システム等を自分で勉強するという行為を意欲を持ってできるようになりました。
免疫療法はご説明にもあったように、子供にまったく負担の無い方法とは言えませんので、まずは私が試して、子供を説得し応援するつもりです。
アレルギーによって人生の楽しい時間を無駄に過ごさないよう…になるといいですね。

Posted by: かばとかえる | 2009.03.17 at 10:59 PM

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